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【287】どう見ても組織票です [即興小説トレーニング]

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 お題 :神の多数決
制限時間:15分

タイトル:どう見ても組織票です


 神――それは人々の信仰によって生まれ、その信仰に合わせて力を持つ存在。
 多くの土地で様々な信仰があり、その一つ一つが神を生み出してきた。
 加護を受けた人間たちは生活範囲を広げ、やがて別の信仰を持つ人間たちと出会う。
 そうして人間同士の戦いが起こり、敗北した側は神を失い、勝利した側はより強い力を持つ神を奉じる。
 そうして、ほぼ全ての土地に何かしらの神の加護が行き渡った。
 自分を崇める人間たちが争いを控えるよう、神々は神々同士で話し合いをする機会を設けることにした。
 神の多数決によって、その話し合いはルールが決められていった。
 集まるのは年に一度である。集合場所は人間たちが日本と呼ぶ国である。と。

  <あとがきという名の言い訳スペース>

 そりゃ八百万もいますから。即興287品目。
 昔の呼び方で10月を神無月。その理由は日本中の神々が一同に集まる時だから。
 そして集まる場所――出雲では神在月とも呼ぶ。というのは、ある程度知られていることですね。

【286】割りに合わない仕事 [即興小説トレーニング]

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 お題 :腐った血
制限時間:15分

タイトル:割りに合わない仕事


「ったく、話が違うじゃねぇか……」
 まばらに立ち並ぶ建物は壁が崩れ落ちていたり、穴が空いていたり。
 パッと見では廃墟であるその村には、依頼で聞いたとおりに死体が動いていた。
 だが聞いたとおりなのはそこまで。
「なんなんだよこの数は」
 最初は一体ずつしかいなかったので、予定通りだと思っていた。
 着実にゾンビを死体に戻して足を進め、村の広場らしき場所に着いた時だった。
 これまで倒したのと同じくらいの数がそこにいた。
 そしてそいつらを屠っているうちに、周りの建物から更に同じくらいの数が湧いてきた。
 当初聞いていた数ならなんとかなると、一人で来たのは間違いだったか。
「ヤロウ……戻ったら文句つけてやる」
 そして報酬もキッチリ増やしてもらう。
 その決意を胸に、腐った肉と、腐った血を地面へとぶちまけた

  <ここで時間制限>

 その決意を胸にして、男はまた一つ、腐った肉と腐った血を地面へとぶちまけた。

  <あとがきという名の言い訳スペース>

 このお題、あとは廃墟となった病院しかすぐには思いつかなかったです。即興286品目。
 そもそもゾンビって、どういう原理で発生するか、それにあわせてどう対処するかの種類が多いですよね。
 そこを掘り下げてみるのも、一つの世界観を深くするのかもしれません。

【285】失った楽しさ [即興小説トレーニング]

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 お題 :つまらない夏休み
制限時間:15分

タイトル:失った楽しさ


 夏休み。
 一般的に40日前後とされるその期間は長期休みの中で最も長く、多くの学生たちが楽しみにしているものである。
 自分もその一人だった。
 だが、今年の夏休みは楽しくない。つまらない。面白くない。
 終業式が終わって、駅前でみんなと盛り上がり、そこからの帰宅途中で交通事故。
 横道から一時停止を無視した車の一撃で、今年の俺の夏休みは砕け散った。
 吹っ飛んだ先の地面とチャリに挟まれて、左手と左足が骨折となった。
 内蔵や脳は問題なかったらしく、入院は検査程度の短いもので済んだ。
 だが、この状態じゃ外で遊ぶのは無理がある。
 そして家にいれば、利き手は大丈夫だからって「今のうちに宿題終わらせておけ」とか言われる。
 あいつらは今頃、予定通りに旅行を楽しんでいるだろうか。

  <あとがきという名の言い訳スペース>

 お久しぶりの、即興285品目です。
 人は絶対ではなく、相対でものを感じるといいます。
 例えば、スーパーでの野菜が以前より高く・安くなっているとか。
 例えば、用事が見積もっていた時間より早く・遅く片付いたとか。
 楽しいと思っていた長期休みをつまらなくするのは、どうしてもこういう内容になっちゃいますね。

【284】未経験だった仲間 [即興小説トレーニング]

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 お題 :経験のないあいつ
制限時間:15分

タイトル:未経験だった仲間


「よ、よろしくお願いします……」
 いつもの場所に顔を出したところに、ちょうどそんなセリフ。
「おっすおっす」
「おっす」
「ばんはー」
「おいっすー」
「あ、こんばんは」
「ばんばんじー」
「ちょうどいいタイミングだ、お前もどうだ?」
「なんの話だよ?」
 いつものことだが、説明もなくさっきまでの話題に戻りやがる。
 といっても、お互い変に気を使っていない証拠のようなもの。こういう気楽なやり取りができるから、こいつらとの付き合いが続いているとも言える。
「あいつがまだアレを経験してないらしくてな」
「アレ?」
 そうして多少の説明を聞けば、ある程度のことは理解できた。
「なんだ、もう経験してたと思ってたが」
「未経験は周りも断るから、どうしてもできないらしくてな」
「それでいつものメンバーなら大丈夫かなって」
「なるほど、了解だ」
 了承を返して、言葉を続ける。
「それじゃ、行けるメンツは20分後くらいに現地集合でいいか?」
 あいつの初インスタントダンジョンへ。

  <あとがきという名の言い訳スペース>

 前にもこんなネタ使った気が。即興284品目。
 始まってからある程度経ったネトゲは、どうしても攻略情報頼りになりがちです。
 レアアイテム入手にレベル上げのために同じところを延々と、1回の時間を極力減らすためにはそうなってしまうのは仕方ないことです。
 でも、私はそういう状況になるとすぐ飽きちゃうんですよねぇ。

【283】リサーチ不足? [即興小説トレーニング]

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 お題 :彼の愛したつるつる
制限時間:15分

タイトルリサーチ不足?


「なるほど。好意を向けられるのはありがたいことだ」
 意を決して長年の片思いを伝えたわたしに返ってきたのは、そんな言葉だった。
「そ、それなら……その……わ、わたしと、付き合ってくれませんか!?」
「それは断る」
 続けられた言葉に、思考が止まる。
「ど、どう……して?」
 10分か20分か、あるいは何時間も経ったのではと思える長い一瞬の末、わたしが口にしたのはそんな疑問だった。
「理由か。そうだな、それは大きくなってしまったからだ」
「大、きく……?」
「そうだ。それによってキミは俺の好みではなくなった」
「なくなっ、た……?」
「そう。キミが大きくなってしまったのは――」
 その胸だ、と。
「女というのはどうしてか、大きいほうがいいという風習があるようだが、俺の好みはつるつるのぺったんこでな。だが、ただ小さいだけでもダメだ。小さいのを気にして隠したがるようなのが一番だ」

  <ここで時間制限>

「そ、それじゃあ……胸にこだわりがあるって、噂は……」
 そう聞いたから、がんばって、色々と試して、せめて普通くらいの大きさになったのに。
「ああ、数年前のキミはすばらしい胸の持ち主だったな。それでいて、クラスの女子たちと恋バナをしながらも大きくする方法をひそかに聞こうとしていたりする様子はとても素晴らしかった」
 なってしまった。素晴らしかった。そんな彼の過去形の言葉が。
 あの頃の、彼の好みの姿にはもう戻れないということをわたしの心に突き刺した。

  <あとがきという名の言い訳スペース>

 なんか珍しい場面を書いた気がします。即興283品目。
 なお、がんばれば普通くらいまでにすることができるのかとか、こだわりある相手だからがんばったのに普通くらいで告白するものなのかとかそういう細かいことは考えることをやめましたので気にしないようお願いします。